「親知らずのあたりがズキズキ痛む」「頬や歯ぐきが腫れて口が開けにくい」「ガマンすればそのうち治まるのか、それともすぐ抜くべきなのか分からず不安」——夜になって痛みが強くなり、どうしていいか分からないまま検索している、という方も少なくありません。親知らずの痛みや腫れは、生え方やまわりにたまった汚れによる炎症が関わっていることが多く、一度落ち着いても原因が残ると繰り返しやすいのが特徴です。このページでは、まず今つらい痛みへの応急的な対処と受診の目安を先にお伝えし、そのうえで痛み・腫れの原因、「抜く・抜かない」の判断の考え方、抜歯の流れと抜歯後の注意までを、順を追ってご説明します。
要点
今つらい方へ、先に結論からお伝えします。
- 応急的な対処の基本は、患部を清潔に保ち、頬の上から冷やしすぎない程度に冷やし、必要なら市販の鎮痛薬を用法どおりに使い、患部を指や舌で触りすぎず・うがいをしすぎないこと。そして、できるだけ早めに受診することです(詳しくは下の親知らずの痛みへの応急的な対処で解説します)。
- 痛み・腫れの多くは、汚れがたまって歯ぐきが炎症を起こす「智歯周囲炎」や、親知らずのむし歯治療が必要な状態が原因です。一時的に落ち着いても、原因が残ると繰り返します。
- 「すぐ抜くべき?」の答えは“いつもそうとは限らない”です。まっすぐ生えて噛み合い、清掃できていれば経過観察のこともあります。横向き・繰り返す腫れなどは抜歯を検討します(親知らず・抜歯)。
- 親知らずの抜歯は保険診療です。深く埋まっている・神経に近いなどの難しいケースは、口腔外科的な対応や連携先での治療をご提案することがあります。
- 強い痛み・大きな腫れ・口が開けにくい・飲み込むときに痛い・発熱がある場合は、放置せず早めにご相談ください。
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いますぐできる応急的な対処 ― 受診までの間に
親知らずが急に痛みだしたとき、受診できるまでの間にご自宅でできる対処があります。いずれも痛みをやわらげるための一時的な手当てで、原因そのものを治すものではない点はご理解ください。当院では、痛みで来院された方にも、まずこうした応急的なケアと、避けたほうがよい行動をあわせてお伝えしています。
- 患部を清潔に保つ: やわらかい歯ブラシでまわりの汚れをやさしく落とし、ぬるま湯で軽くすすぎます。汚れがたまると炎症が悪化しやすいためです。
- 冷やしすぎない: 痛みが強いときは、頬の上から冷たいタオルなどで軽く冷やすと楽になることがあります。氷で強く冷やし続けると血行が悪くなり、かえって治りを妨げることがあるため、冷やしすぎは避けます。
- 市販の鎮痛薬を用法どおりに: つらいときは市販の鎮痛薬を、表示された用法・用量の範囲で使用します。持病やアレルギー、ほかに服用中のお薬がある場合は、薬剤師や医師にご確認ください(自己判断での増量はしないでください)。
- 触りすぎない・うがいをしすぎない: 気になっても、指や舌・つまようじで患部を触るのは避けます。強く何度もうがいをするのも刺激になるため、ほどほどにします。
- 血行が強まることを控える: 痛み・腫れがあるときは、飲酒・長風呂・激しい運動など血行が強まる行動を控えると、悪化しにくくなります。
- 早めに受診する: 上記はあくまで応急的な対処です。原因が残ると繰り返すため、痛みが落ち着いても早めの受診をおすすめします。
※強い痛みや大きな腫れがあるとき、口が開けにくい・飲み込むと痛い・発熱があるときは、応急対処で様子を見続けず、早めに受診してください。炎症が強い場合は、まず炎症を抑える処置を優先することがあります。
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なぜ痛む・腫れる? ― 親知らずの痛みの主な原因
親知らず(智歯)は、いちばん奥に最後に生えてくる歯です。まっすぐ生えるスペースが足りず、斜めや横向きに生えたり、一部だけ歯ぐきから出た状態になったりしやすく、歯ブラシも届きにくいため、汚れがたまって炎症やむし歯を起こしやすいという背景があります。当院では、痛みの原因が次のどれに当たるのかを、症状の出方やレントゲン等で切り分けることから始めています。
- 智歯周囲炎: 親知らずのまわりの歯ぐきに汚れ・細菌がたまって炎症を起こした状態です。腫れ・痛み・口が開けにくい・噛むと痛いなどの症状が出ることがあり、親知らずの痛みで最も多い原因のひとつです。体調が落ちているときに起こりやすい傾向があるとされています。
- むし歯: 親知らずは清掃が難しく、親知らず自体や、ひとつ手前の歯がむし歯になりやすい部位です。進行すると痛みが出て、むし歯治療が必要になります。
- 隣の歯への影響: 横向きや斜めに生えた親知らずが、手前の歯を押したり、その境目に汚れをためたりして、手前の歯のむし歯や歯ぐきの炎症の一因になることがあります。
- 嚢胞(のうほう)など: まれに、埋まったままの親知らずのまわりに袋状の病変(嚢胞)ができることがあります。自覚症状が乏しいこともあり、レントゲン等で確認します。
(原因の記述は一般的に知られている内容です。状態には個人差があり、実際にどの要因が関わっているかは診察とレントゲン等で確認します。断定はできません。)
「抜く・抜かない」はどう決める? ― 判断の考え方
「親知らず=すぐ抜くもの」と思われがちですが、抜かずに経過を見るケースもあります。当院では、生え方・噛み合わせ・清掃のしやすさ・症状を繰り返しているか・手前の歯への影響などを総合的に診て、抜いたほうがよいか、抜かずに経過を見るかを一緒に考えていきます。痛みが強いときは、まず炎症を抑えてから落ち着いた状態で判断することが多いです。
抜かずに経過を見ることがあるケース
- まっすぐ生えていて、上下できちんと噛み合い、機能している
- 歯ブラシが届き、清掃ができていて、炎症やむし歯を起こしていない
- 症状がなく、手前の歯にも悪い影響が出ていない
抜歯を検討することが多いケース
- 横向き・斜めに生えている、歯ぐきに一部だけ出ている(汚れがたまりやすい)
- 智歯周囲炎による腫れ・痛みを繰り返している
- 親知らずや、ひとつ手前の歯がむし歯になっている・なりやすい
- 手前の歯を押すなど、隣の歯へ影響が出ている、または出るおそれがある
どちらに当てはまるかは、見た目だけでは分かりにくいことも多く、レントゲン等で歯の向きや根の位置を確認したうえでご説明します。判断に迷う段階でのご相談でも構いません。くわしくは親知らず・抜歯のページもあわせてご覧ください。
抜歯の流れと、難しいケースの連携
抜歯を行う場合は、まずレントゲン等で歯の向き・根の形・神経との位置関係を確認します。当院では、抜歯前に流れとリスク、抜歯後の注意点をご説明し、ご納得いただいてから進めることを大切にしています。多くの場合、局所麻酔のうえで処置を行います。まっすぐ生えた親知らずは比較的短時間で済むことが多い一方、深く埋まっている・横向きで骨に大きく覆われている・下の歯で神経に近いといった難しいケースでは、より慎重な対応が必要になります。
こうした難しいケースでは、安全を優先し、より精密な検査(CT等)や、口腔外科的な対応、あるいは連携先の医療機関での治療をご提案することがあります。「他院で抜歯と言われたが不安」という方のご相談も承っています(他院で抜歯と言われた方へ)。ご自身の状態に合った進め方を、診察のうえで一緒に確認していきましょう。
費用について(料金マスター準拠・税込)
親知らずの抜歯や、痛み・炎症への処置は、保険診療で行います(自己負担額は処置の内容によって異なります)。難しい抜歯やCT撮影などを伴う場合も、保険診療の範囲で行うものについては所定の自己負担となります。
- 親知らずの抜歯・炎症への処置: 保険診療です。費用は処置内容により異なり、診察のうえでご説明します。
- 自費抜歯(矯正治療などに伴って、保険適用外で親知らずを抜く場合): 単純抜歯6,600円、複雑抜歯(分割や骨の削除を伴う場合)16,500円(いずれも税込)。これは矯正等に伴う自費抜歯にのみ適用される料金で、通常の親知らずの抜歯は保険診療です。
- 費用の詳細や他の処置の料金は料金表でご確認いただけます。

担当医からの一言
中村 彩華院長
「親知らずの痛みは、夜や週末に強くなって不安になりますよね。そのお気持ち、よく分かります。痛みがあるときは、まず無理に抜こうとせず炎症を抑えることを優先し、落ち着いてから抜く・抜かないをご一緒に考えます。判断に迷う段階でも構いませんので、どうぞ気軽にご相談ください。」
抜歯後に気をつけたいこと ― ドライソケットなど
抜歯後は、傷口を守るための「血のかさぶた(血餅)」が穴をふさいでいきます。これがはがれてしまうと、傷の治りが遅れて強い痛みが続く「ドライソケット」と呼ばれる状態になることがあります。当院では、抜歯後のすごし方を口頭と書面でご説明していますが、目安として次のような点に気をつけていただくと安心です。
- 強くうがいをしすぎない・傷口を舌や指で触らない(血のかさぶたがはがれやすくなります)
- 当日は飲酒・長風呂・激しい運動など血行が強まる行動を控える
- 処方されたお薬がある場合は、指示どおりに服用する
- 強い痛みが続く・腫れがひどくなる・出血が止まらないなどの場合は、早めにご連絡ください
抜歯後に腫れや痛みが出ることがあり、程度には個人差があります。多くは数日で落ち着いていきますが、気になる症状があるときは様子を見すぎず、ご相談ください。
受診の目安
- 強い痛み・大きな腫れがある/口が開けにくい/飲み込むときに痛い/発熱している
- 痛みや腫れを繰り返している
- 親知らずや、ひとつ手前の歯がむし歯になっている気がする
- 応急的な対処をしても、痛みが落ち着かない
これらに当てはまる場合は、放置せず受診してください。炎症が強いときは、まず炎症を抑える処置を優先することがあります。
症例・治療例について
当院でこれまでに公開している症例は小児矯正が中心です。親知らず・口腔外科に関する具体的な治療例は、治療例の一覧で順次ご紹介していく予定です。お口の状態や生え方は一人ひとり異なりますので、ご自身に近いケースについては、診察の際に具体的にご説明します。
よくあるご質問
- Q. 親知らずが痛いのですが、すぐ抜いたほうがいいですか
- A. いつもそうとは限りません。炎症が強いときは、まず炎症を抑える処置を優先し、落ち着いてから抜く・抜かないを判断することが多いです。まっすぐ生えて噛み合い、清掃できていれば経過を見ることもあります。状態を診てご提案します。→ 親知らず・抜歯
- Q. 受診までの間、家でできる応急的な対処はありますか
- A. 患部を清潔に保ち、頬の上から冷やしすぎない程度に冷やし、つらいときは市販の鎮痛薬を用法どおりに使い、患部を触りすぎず・うがいをしすぎないことが基本です。飲酒・長風呂など血行が強まる行動は控えてください。あくまで一時的な対処のため、早めの受診をおすすめします。
- Q. 痛みや腫れは自然に治りますか
- A. 一時的に落ち着くことはありますが、汚れ・生え方・むし歯といった原因が残ると繰り返します。早めの受診をおすすめします。
- Q. 抜歯は保険でできますか
- A. はい、親知らずの抜歯は保険診療です(自己負担額は処置の内容により異なります)。矯正治療などに伴って保険適用外で抜く自費抜歯の場合のみ、別の料金体系になります。→ 料金表
- Q. 難しい親知らずでも対応できますか
- A. 深く埋まっている、神経に近いなどの難しいケースは、より精密な検査(CT等)や口腔外科的な対応、連携先での治療をご提案することがあります。安全を優先して進め方をご相談します。
- Q. 他院で抜歯と言われましたが、不安です
- A. ご不安なまま進める必要はありません。状態を確認したうえで、抜く必要性や進め方をあらためてご説明します。他院で抜歯と言われた方へもご覧ください。
- Q. 抜歯後は腫れますか。気をつけることはありますか
- A. 抜歯後に腫れ・痛みが出ることがあり、程度には個人差があります。強くうがいをしすぎない・傷口を触らない・当日は血行が強まる行動を控えることが大切です。強い痛みが続く場合(ドライソケット等)はご連絡ください。抜歯後のケアは書面でもご説明します。
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参考文献・出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口腔の健康」(口腔の健康に関する解説)
- 公益社団法人 日本口腔外科学会(口腔外科に関する学術団体)
- Ghaeminia H, et al. Surgical removal versus retention for the management of asymptomatic disease-free impacted wisdom teeth. Cochrane Database Syst Rev. 2016; 8(8): CD003879.
公的統計・学会ガイドライン・査読論文に基づき記載しています。
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この記事の監修

中村 彩華院長
お口から、お子さま・ご家族の健やかな成長を支えます。
担当分野: 小児矯正・マウスピース矯正・口腔機能・小児歯科
- 広島大学歯学部 卒
- インビザライン矯正認定医
- 日本小児歯科学会 正会員
- 日本口腔筋機能療法学会 正会員
- 口育協会認定士
- 日本睡眠歯科学会 正会員
- 一般社団法人 Smart Dental Vision 理事長
公開日: 2026-06-10 / 最終更新日: 2026-06-20/ 監修: 中村 彩華(院長)
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