「フロスを通した後、いつも同じ歯だけ臭う」「歯間ブラシに、ドブのようなにおいがつく」「銀歯のまわりが黒く、においも気になる」。こうした変化は、歯と歯の間に残ったプラーク、歯周ポケット、むし歯、詰め物や被せ物の境目など、いくつかの原因で起こります。においだけで原因を決めることはできません。このページでは、ご自宅で確認できることと、歯科医院で調べる内容を順にご説明します。
要点
歯間ブラシやフロスが臭うだけでは、原因を一つに決められません。
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歯間ブラシやフロスが、特定の歯だけ臭うときに確認すること
フロスや歯間ブラシにつくにおいは、歯と歯の間に残ったプラークが関係することがあります。ただし、深い歯周ポケット、むし歯、銀歯や被せ物の段差があると、ご自宅の清掃だけでは届かないことがあります。無理に強く通すと歯ぐきを傷つけるため、道具のサイズや使い方も確認が必要です。
- いつも同じ歯、同じ側でにおいがつくか
- 歯間ブラシやフロスを通すと出血するか
- フロスが引っかかる、ほつれる、切れることがあるか
- 銀歯や被せ物の境目に段差、黒い線、違和感があるか
- 一部分だけでなく、口全体のにおいも気になるか
同じ場所で繰り返す場合は、むし歯の治療と歯周病・口臭の治療の両面から確認します。診察では、歯ぐきの状態、むし歯、詰め物や被せ物の適合を見て、必要に応じてレントゲン撮影を行います。
なぜ銀歯が黒く見えるのか ― 「金属の劣化」という背景
日本の保険診療で長く使われてきた銀歯は、正確には「金銀パラジウム合金」という金属です。丈夫で費用を抑えられる一方、口の中という過酷な環境では、唾液や酸、毎日の噛む力にさらされ続けます。金属は時間の経過とともに少しずつ劣化・腐食することがあり、これが“黒ずんで見える”ことの一因です。新しく入れた直後はそれほど気にならなかった銀歯が、数年・十数年と経つうちに色を変えていく——そうした変化には、こうした金属そのものの性質が関わっています。
当院では、銀歯の見た目を気にして来られた方に、まず「いつ頃入れたものか」「境目に引っかかりや黒い線がないか」を一緒に確認しています。同じ“黒ずみ”でも、金属の表面の変化なのか、後で述べる歯ぐきへの色素沈着なのか、あるいは境目から進んだむし歯なのかで、必要な対応がまったく変わるためです。見た目だけで判断せず、原因を切り分けることを大切にしています。
歯ぐきが黒っぽい ― 「メタルタトゥー(金属の色素沈着)」とは
「銀歯のまわりの歯ぐきだけ、黒っぽく見える」という場合、メタルタトゥー(メタルライン/金属の色素沈着)と呼ばれる現象が関わっていることがあります。これは、金属の成分が長い時間をかけて歯ぐきの組織にわずかに移行し、入れ墨(タトゥー)のように歯ぐきの色を変えてしまう状態です。痛みなどの自覚症状がないことが多く、ご本人は「歯ぐきの血色が悪いだけ」と思っていて、よく見ると金属が背景にあった、というケースもあります。
当院の経験では、前歯に近い部分の被せ物でこの歯ぐきの黒ずみを気にされる方が多い印象です。原因となっている金属を、金属を使わないメタルフリーの審美・セラミック治療へ入れ替えることで、これ以上の色素の移行という背景要因を避ける選択肢があります。ただし、すでに歯ぐきに移った色素そのものへの対応は状態によって異なり、診察のうえでご説明します。色の戻り方には個人差があり、結果をお約束できるものではありません。
境目のすき間と「二次むし歯」― 黒ずみとにおいの共通点
銀歯と歯の境目は、入れた当初はぴったり合っていても、経年とともにわずかなすき間(段差)が生じることがあります。このすき間に汚れ(プラーク)や細菌がたまると、境目から再びむし歯になる「二次むし歯」が起こることがあります。二次むし歯は、境目が黒く見える原因になるだけでなく、進行すると独特のにおいの一因になることもあります。つまり、別々に見えていた「黒ずみ」と「におい」が、じつは同じ“境目のすき間”という一点でつながっているわけです。
- 金属の劣化・腐食: 銀歯(金銀パラジウム合金)自体や、周囲の歯ぐきが黒っぽく見える背景になることがあります。
- 境目のすき間と二次むし歯: 段差に汚れがたまり、再びむし歯の治療が必要なむし歯になることがあります。においの一因になることもあります。
- 汚れ・プラークの付着: 境目の段差は清掃が届きにくく、細菌が繁殖し、口臭の一因となることがあります。
- 補綴物(詰め物/被せ物)の不適合: 適合がゆるんだ被せ物の下は汚れがたまりやすく、においや二次むし歯の温床になり得ます。
(原因の記述は一般的に知られている内容です。状態には個人差があり、断定はできません。実際にどの要因が関わっているかは、診察とレントゲン等で確認します。)
口臭の主な原因は1つではない ― 原因で対処が変わる
ここはとても大切なところです。「口臭=銀歯のせい」と思い込んで銀歯だけを入れ替えても、本当の原因が別にあれば、においは改善しないことがあります。口臭の原因は一つではなく、いくつかの代表的な要因があり、それぞれ対処の入り口が異なります。当院では、においを気にして来られた方に、まず原因がどこにあるのかを切り分けることから始めています。
| 主な原因 | どんな状態か | 対処の入り口 |
|---|---|---|
| 歯周病 | 歯ぐきの炎症・歯周ポケットの汚れが、においの大きな要因になりやすい | 歯周病・口臭の治療で歯ぐきの状態を整える |
| 舌の汚れ(舌苔) | 舌の表面にたまった汚れが、においの発生源になることがある | 予防・クリーニング+正しい舌のケア |
| むし歯 | 進行したむし歯・二次むし歯が、においの一因になることがある | むし歯の治療で原因の歯に対応する |
| 補綴物の不適合・銀歯の劣化 | 境目のすき間に汚れがたまる/金属が劣化している | 適合の確認・必要に応じてセラミックへ入れ替え |
| 口の渇き(唾液の減少) | 唾液が減ると自浄作用が落ち、においが出やすくなる | 生活習慣の見直し・予防・クリーニングで相談 |
同じ「口臭」でも、必要な処置は原因によって変わります。当院では、まず歯ぐきの検査やお口全体のチェックを行います。銀歯・補綴物が関わっていれば入れ替えを検討し、歯周病や舌の汚れが主因であれば、そちらのケアを優先します。原因を確認せず、装置だけを替えることはおすすめしていません。
白く・清潔に保ちやすい「メタルフリー(セラミック)」という選択肢
原因を確認したうえで、見た目と清潔さの両面から銀歯を入れ替えたい場合の選択肢が、金属を使わないメタルフリーのセラミックです。セラミックは白く自然な色合いで、表面がなめらかなため汚れ(プラーク)が付着しにくく、歯ぐきとの境目を清潔に保ちやすいとされています。金属を使わないため、これまで述べた金属の劣化やメタルタトゥーといった金属由来の背景要因を避けられる点も、選ばれる理由のひとつです。
- 見た目: 白く自然な色調で、銀歯のような金属色や黒ずみが目立ちません。
- 清潔さ: 表面がなめらかで汚れがつきにくく、境目を清潔に保ちやすいとされています。
- 金属を使わない: 金属の劣化・腐食や歯ぐきへの色素沈着(メタルタトゥー)という背景要因を避けられます。
- 治療後の管理: 素材だけで再発を防げるわけではありません。境目の適合、接着、噛み合わせ、毎日の清掃、定期的な確認が必要です。
材料には、透明感に強みのあるe-max(ガラスセラミック)や、強度に強みのあるジルコニアなどがあり、部位や噛み合わせ、ご希望に応じて選びます。当院では、米国で補綴を研鑽した歯科医師である村井(U.S. Trained Prosthodontist/インディアナ大学 M.S.D.)が、セラミック・補綴(被せ物/詰め物)の治療方針を監修します。実際の診断と治療は担当歯科医師が行います。くわしくは審美・セラミック治療、前歯の見た目を整えるラミネートベニアもあわせてご覧ください。
セルフチェック ― 当てはまる項目はありますか
- 歯間ブラシやフロスを通すと、いつも同じ場所でにおいがする
- 歯間ブラシやフロスを通すと、出血する・引っかかる・切れる
- 銀歯のまわりの歯ぐきが、黒っぽい・色が悪い
- 銀歯と歯の境目が黒ずんでいる、引っかかる感じがある
- 銀歯の歯でかむと、違和感がある・しみることがある
- ていねいに歯みがきしても、口全体のにおいが気になる
- 銀歯を入れてから、かなり年数が経っている
- 金属の見た目そのものが気になる・写真で目立つ
当てはまる項目が多い場合は、原因がひとつとは限りません。複数の要因が重なっていることもありますので、一度ご相談いただくことをおすすめします。

担当医からの一言
中村 彩華院長
「銀歯の黒ずみも、口臭も、人にはなかなか相談しづらいですよね。そのお気持ち、よく分かります。当院ではまず原因を一緒に確かめ、必要なところから無理のない順番でご提案します。気になることがあれば、どうぞ気軽にお話しください。」
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費用と、治療の前に知っておきたいこと(料金マスター準拠・税込)
むし歯・歯周病など原因への治療は、内容により保険が適用されます(自己負担は内容によって変わります)。一方、銀歯を白く入れ替えるセラミック治療は自費診療です。代表的な費用の目安は次のとおりで、表示はすべて税込です。
セラミックの詰め物(インレー)
| ジルコニアインレー | 77,000円 |
|---|---|
| e-maxインレー | 77,000円 |
| ジルコニアセラミックインレー | 99,000円 |
表示はすべて税込です。
セラミックのかぶせ物(クラウン)
| ジルコニアクラウン | 132,000円 |
|---|---|
| e-maxクラウン | 132,000円 |
| ジルコニアセラミッククラウン | 165,000円 |
表示はすべて税込です。
- 詰め物(インレー)はジルコニアインレー77,000円〜、かぶせ物(クラウン)はジルコニアクラウン132,000円・e-maxクラウン132,000円〜が目安です(いずれも税込・素材により異なります)。
- 透明感を重視したセラミックのクラウンとして、ジルコニアセラミッククラウン165,000円もご用意しています。
- 上記に加えて、形成・セット料金2,200円(1本あたり・税込)がかかります。本数・部位により総額は変わるため、診断時に書面でお見積りします。
- むし歯・歯周病の治療は保険適用です。原因への治療とセラミックの入れ替えは、必要に応じて段階的に進めます。→ 料金表
- お支払い: 現金/各種カード/デンタルローン(分割)に対応しています。医療費控除の対象となる場合があります。
治療内容・費用・期間・リスクについて
- 治療内容
- メタルフリー(セラミック)による補綴治療。銀歯(金属の詰め物/被せ物)を外し、う蝕(むし歯)があれば処置したうえで、歯を削って形を整え、e-maxやジルコニア等のセラミックを精密に作製・接着します。必要に応じて歯周病・二次むし歯の治療を先行します。
- 費用(税込)
- 自費診療。詰め物(インレー)77,000円〜、かぶせ物(クラウン)132,000円〜(税込・素材による)。別途、形成・セット料金2,200円(1本あたり・税込)。本数・部位により総額は変わります。
- 治療期間・回数の目安
- 通院の目安は1本あたり2〜3回程度(型取り〜装着)。むし歯・歯周病の治療を伴う場合や本数が多い場合は、回数・期間が増えることがあります。状態により個人差があります。
- 主なリスク・副作用
- 歯を削る必要があります。削る量や歯の状態によっては、治療後に一時的なしみ(知覚過敏)が出ることがあります。強い衝撃・噛みしめ・歯ぎしりにより、欠け・割れ・脱離が起こることがあります(ナイトガードの使用をおすすめする場合があります)。神経の状態によっては将来的に追加処置が必要になることがあります。装着後も、適切なセルフケアと定期的なメンテナンスが必要です。
症例について
セラミック治療の実際の症例は、セラミックの症例一覧で順次ご紹介していく予定です。お口の状態や治療内容は一人ひとり異なりますので、ご自身に近いケースについては、診察の際に具体的にご説明します。
受診の目安
- 銀歯の境目が黒い・引っかかる、かむと違和感がある場合は、二次むし歯の可能性があります。早めの受診をおすすめします。
- 歯ぐきの黒ずみが気になる場合は、金属の色素沈着(メタルタトゥー)が背景にあることがあります。原因の確認のためご相談ください。
- 口臭が続く場合は、歯周病など別の原因のこともあります。原因の見極めのため、一度ご相談ください。
よくあるご質問
- Q. 歯間ブラシやフロスがドブ臭いのは病気ですか
- A. においだけで病気とは判断できません。歯と歯の間に残ったプラークでもにおいは生じますが、同じ場所で繰り返す、出血する、フロスが引っかかる場合は、歯周病・むし歯・詰め物や被せ物の境目を歯科医院で確認します。
- Q. 特定の歯だけ臭うのは、銀歯が原因ですか
- A. 銀歯の境目の段差や二次むし歯が関係することはありますが、隣の歯のむし歯や歯周ポケットなど別の原因もあります。銀歯を外す前に、歯ぐき、むし歯、境目の適合を確認します。
- Q. 銀歯のまわりの歯ぐきが黒いのは、銀歯のせいですか
- A. 金属の成分が歯ぐきに移行するメタルタトゥー(金属の色素沈着)が関わる場合があります。むし歯や歯ぐきの炎症でも色が違って見えるため、原因を確認してから対応を決めます。
- Q. 口臭を治したいのですが、何から始めればいいですか
- A. まず原因の見極めから始めます。歯ぐきの検査やお口全体のチェックで、歯周病・舌の汚れ・むし歯・補綴物の不適合などのどれが関わっているかを確認し、原因に応じて歯周病・口臭の治療や予防・クリーニングをご提案します。
- Q. セラミックに替えれば口臭はなくなりますか
- A. セラミックへの交換だけで口臭がなくなるとは限りません。原因が歯周病、舌の汚れ、口の乾燥などにあれば、別の対応が必要です。銀歯の境目が原因の一つと判断した場合に、審美・セラミック治療を選択肢としてご説明します。
- Q. 費用はどのくらいかかりますか
- A. むし歯・歯周病の治療は保険適用です。セラミックは自費で、詰め物77,000円〜・かぶせ物132,000円〜(税込・素材による)、別途、形成・セット料金2,200円(1本あたり)です。総額は本数・部位で変わるため書面でお見積りします。→ 料金表
- Q. セラミック治療はどのような体制で行いますか
- A. 米国で補綴を研鑽した歯科医師の村井(U.S. Trained Prosthodontist/インディアナ大学 M.S.D.)が治療方針を監修し、実際の診断と治療は担当歯科医師が行います。→ 監修医の紹介
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参考文献・出典
- 日本歯周病学会『歯周病の症状』『歯周病の予防』― 歯周ポケットと口臭、歯間清掃用具の使用について(2026年9月10日参照)
- 日本歯科医師会『歯間清掃具の選び方』― デンタルフロスと歯間ブラシの使い分けについて(2026年9月10日参照)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭」(口臭の原因・分類に関する解説)
- 公益社団法人 日本補綴歯科学会(補綴歯科治療に関する学術団体)
- 日本歯科審美学会(歯科審美に関する学術団体)
- Ucar Y, Brantley WA. Biocompatibility of dental amalgams. Int J Dent. 2011; 2011: 981595.
- Pjetursson BE, Sailer I, Zwahlen M, Hämmerle CH. A systematic review of the survival and complication rates of all-ceramic and metal-ceramic reconstructions after an observation period of at least 3 years. Part II: Fixed dental prostheses. Clin Oral Implants Res. 2007; 18 Suppl 3: 86-96.
公的統計・学会ガイドライン・査読論文に基づき記載しています。
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この記事の監修

中村 彩華院長
お口から、お子さま・ご家族の健やかな成長を支えます。
担当分野: 小児矯正・マウスピース矯正・口腔機能・小児歯科
- 広島大学歯学部 卒
- インビザライン矯正認定医
- 日本小児歯科学会 正会員
- 日本口腔筋機能療法学会 正会員
- 口育協会認定士
- 日本睡眠歯科学会 正会員
- 一般社団法人 Smart Dental Vision 理事長
公開日: 2026-06-10 / 最終更新日: 2026-09-10/ 監修: 中村 彩華(院長)
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