「テレビを見ているとき、いつのまにかお口がぽかんと開いている」「寝ているときにいびきをかいたり、口で息をしている」「指しゃぶりや、口まわりのくせがなかなか抜けない」——お子さまのお口を見ていて、ふと気になったことはありませんか。子育てに追われる毎日のなかで、「これってうちの子だけ?」「叱った方がいいの?」「でも大げさかな……」と、相談していいのか迷ってしまう。そんな保護者の方の声を、当院でもよくお聞きします。お口ぽかん(専門的には口唇閉鎖不全)は、決してめずらしいことではありません。このページでは、なぜお口が開いてしまうのか、その背景にあること、おうちでできるやさしいチェックや声かけ、そして歯科でできることを、小児のお口の発達を専門に診ている女性院長が、できるだけ分かりやすくご説明します。
要点
お忙しい保護者の方へ、はじめに大切なことだけお伝えします。
- お口ぽかん・口呼吸は、あわてて何かをする前に、まず「気づいてあげること」がいちばん大切です。早めに気づけると、お口の機能が育ちやすい時期にやさしくサポートしやすくなります。
- 原因は一つではなく、鼻づまり・口まわりの筋力・舌の位置・くせなどが重なっていることがあります。だからこそ、まずは原因の見極めから始めます。
- 気になるときの入口は、歯科でのお口の機能(口腔機能)の評価です。口腔機能発達不全症に該当する場合、検査・管理は保険診療です。
- 必要に応じて、お口まわりのトレーニング(口腔筋機能療法/MFT)や、小児矯正という選択肢をご案内しますが、すべてのお子さまに矯正が必要なわけではありません。
- 叱る必要はありません。「お口とじようね」のやさしい声かけと、気になったら気軽にご相談いただくこと——まずはそこからで大丈夫です。
ご相談・カウンセリングは無料/LINEでもお口の写真を送って無料で相談できます
無理におすすめしません / 相談だけでも歓迎 / 費用は事前にご説明
お口ぽかんは「よくあるけれど、放っておきにくい」状態
「うちの子だけかしら」と心配される保護者の方は多いのですが、お口ぽかんは、実はとても身近な状態です。国内の全国規模の疫学調査では、日常的にお口が開いている「お口ぽかん」の子どもがおよそ3割(約3人に1人)にのぼると報告されており、けっして特別なことではありません。
一方で、この調査では、お口ぽかんの割合は年齢とともに増えており、成長にともなって自然に改善するとは考えにくい可能性も示されています。つまり「そのうち治るかな」と様子を見ているうちに、習慣として定着していくこともあるのです。だからこそ、あわてる必要はありませんが、一度お口の状態を確認しておくことには意味があります。当院では「気になったときが、相談のちょうどよいタイミングですよ」とお伝えしています。
- 国内の全国調査では、子どものおよそ3割に日常的なお口ぽかんがみられると報告されています。
- こうした調査では、割合は年齢とともに増える傾向も示されており、自然には改善しにくい可能性があります。
- お口が開いている状態が続くと、お口の中が乾きやすくなり、むし歯や歯ぐきの炎症のリスクが高まることがあります。
- 唇を閉じる力が弱いと、唇・頬・舌の力のバランスが崩れ、歯並びとの関連が指摘されることもあります(影響の出かたには個人差があります)。
(ここに挙げたのは一般的に知られている内容です。すべてのお子さまに同じ変化が起こるわけではなく、影響の出かたには個人差があります。必要以上にご心配なさらず、まずは状態を知ることから始めましょう。)
なぜお口が開いてしまうの? ― 背景は複合的です
「お口を閉じなさい」と言っても、なかなか続かない——それは、お子さまのやる気の問題ではないことがほとんどです。お口ぽかんの背景には、いくつかの要因が重なっていることが多く、当院ではまず「どれが関わっていそうか」を一緒に見ていきます。原因が分かると、声かけの仕方や、おうちでの工夫も変わってきます。
- 鼻づまり ― アレルギー性鼻炎などで鼻で息がしづらいと、その分、口で呼吸する習慣がつきやすくなります。鼻の症状が強いときは、まず耳鼻科での治療が先になることがあります。
- 口まわりの筋力 ― 唇を閉じておくための筋肉(口輪筋など)が、まだ十分に育っていないことがあります。
- 舌の位置 ― 舌が本来あるべき上あごの位置になく、低い位置にある・前に出るといったくせが関わることがあります。
- くせ・生活習慣 ― 指しゃぶり、頬づえ、やわらかいものばかりを食べる、姿勢のくせなどが、お口の使い方に影響することがあります。
当院では、こうした背景を一つひとつ確認したうえで、「いま、どこからアプローチするのがそのお子さまに合っているか」を考えます。たとえば鼻づまりが強い場合は、無理にお口を閉じる練習から始めるのではなく、耳鼻科での治療を先にご案内することもあります。原因を飛ばしてトレーニングだけを進めることは、おすすめしていません。
放っておくと、どんなことがあるの?
保護者の方がいちばん知りたいのは、「このままだと、何か困ることがあるの?」という点だと思います。脅かすつもりはありませんが、お口が開いた状態が長く続くと、次のような可能性が指摘されています。あくまで「〜のことがあります」という範囲のお話で、必ずそうなるわけではありません。
- むし歯・歯ぐきのリスク ― お口が乾くと、だ液による自浄作用が働きにくくなり、むし歯や歯ぐきの炎症が起こりやすくなることがあります。
- 歯並び・かみ合わせ ― 唇・頬・舌の力のバランスが崩れることで、前歯の傾きや歯列の幅などとの関連が指摘されることがあります。
- お顔の成長 ― お口まわりの使い方は、成長の途中にあるお子さまのお口・あごの育ち方と関わるとされています。
- 睡眠 ― 口呼吸やいびきが、睡眠の質に関わることが話題にされることがあります(強いいびき・睡眠時の様子が気になる場合は、医科への相談が必要なこともあります)。
大切なのは、これらを心配しすぎることではなく、「早めに気づいて、お口の機能が育ちやすい時期にやさしくサポートする」ことです。お子さまのお口は成長の途中なので、整えやすいタイミングがあります。気づいてあげること自体が、すでに大きな一歩です。
おうちでできるセルフチェック
まずは、普段のお子さまの様子を思い浮かべながら、次の項目を見てみてください。テストではないので、リラックスして大丈夫です。
- テレビや遊びに集中しているとき、お口が開いている
- 寝ているとき、お口が開いている・いびきをかく
- 食べるときに音がする・くちゃくちゃ食べる
- 唇が乾燥しがち・前歯がいつも乾いている
- 「ぽかんとした表情が多いね」と言われることがある
- 指しゃぶりや、口まわりのくせがなかなか抜けない
当てはまる項目が多くても、あわてなくて大丈夫です。これは「悪いところ探し」ではなく、「どこをサポートしてあげられるか」を知るためのものです。気になる項目があれば、一度ご相談いただくと、いまの状態を一緒に確認できます。
おうちでできる、やさしい声かけ・習慣
- 鼻で息ができているか、鼻づまりがないかに気を配る(続く鼻づまりは耳鼻科へ)。
- 「お口とじようね」とやさしく声をかける。叱るのではなく、気づかせてあげるのがコツです。
- よく噛んで食べる習慣を大切にする。少しかみごたえのある食材を取り入れるのもよいとされています。
- 食事や勉強のときの姿勢を整える。背すじが伸びると、お口も閉じやすくなることがあります。
どれも、今日からおうちで始められる小さな工夫です。ただ、声かけや習慣だけではなかなか変わらないこともあります。「やってみたけれど、うまくいかない」「これで合っているのか分からない」と感じたら、それは専門家に頼ってよいサインです。次に、歯科でできることをご説明します。

担当医からの一言
中村 彩華院長
「お口ぽかんに気づいて、こうして調べてくださっていること自体が、お子さまにとって大きな一歩です。叱る必要はありませんし、あわてなくて大丈夫。お子さまのお口は成長の途中なので、いまできるやさしいサポートがたくさんあります。気になることがあれば、親子で気軽にお話しに来てくださいね。」
ご相談・カウンセリングは無料/LINEでもお口の写真を送って無料で相談できます
無理におすすめしません / 相談だけでも歓迎 / 費用は事前にご説明
歯科でできること ― まずは「お口の機能」を確かめます
当院では、お口ぽかんや口呼吸が気になって来られたお子さまに、まず「お口の機能がどんな状態か」を確認することから始めます。歯並びをどうするか、ではなく、唇を閉じる力・舌の位置・飲み込み方・呼吸の仕方といった、お口の使い方を一つひとつ見ていく段階です。院長は小児のお口の発達を専門領域とし、日本小児歯科学会 正会員・日本口腔筋機能療法学会(MFT)正会員・口育協会認定士として、機能の面からお子さまを診ています。
- お口の機能の評価 ― 唇を閉じる力、舌の位置、飲み込み方、呼吸などを確認します。口腔機能発達不全症に該当する場合、検査・管理は保険診療です。くわしくはお口の機能(口腔機能)をご覧ください。
- お口まわりのトレーニング(MFT/口腔筋機能療法)― 状態に応じて、唇や舌の使い方を育てるトレーニングをご提案します。お子さまが楽しく続けられるよう、ご家庭での取り組み方もお伝えします。
- 歯並びへの影響が心配な場合 ― 歯並び・かみ合わせの治療が必要かどうかは、お口の機能とは別に診断します。必要に応じて小児矯正の選択肢をご説明しますが、すべてのお子さまに矯正が必要なわけではありません。
- むし歯・歯ぐきのチェック ― 乾燥によるリスクが気になる場合は、定期的なチェックとケアを行います。くわしくは小児歯科をご覧ください。
当院が大切にしているのは、「いきなり装置をつける」のではなく、まずお口の機能を評価し、そのうえで本当に必要なものを順番にご提案するという流れです。お口ぽかんが気になるからといって、必ず矯正が必要になるわけではありません。機能のアプローチで様子をみることも、立派な選択肢です。
いつ相談すればいい? ― 受診の目安
- セルフチェックで当てはまる項目が多い場合 ― 一度お口の機能の状態を確認しておくと安心です。年齢を問わずご相談いただけます。
- 鼻づまり・いびき・口呼吸が続く場合 ― 鼻の症状が強いときは、耳鼻科での治療が先になることがあります。必要に応じて受診をご案内します。
- 指しゃぶりや口まわりのくせが、年齢が上がっても続いている場合 ― くせとお口の機能の関わりを一緒に確認できます。
- 「気になるけれど、急ぐことかな」と迷う場合 ― 迷う段階でのご相談こそ歓迎です。カウンセリングは無料で、親子でお越しいただけます。
お口の機能は、成長の途中だからこそ整えやすい時期があります。「気づいたときが相談のタイミング」とお考えいただいて大丈夫です。
費用について(保険診療・税込)
- 口腔機能発達不全症に該当する場合、検査・管理は保険診療です(自己負担は内容により変わります)。
- むし歯・歯ぐきの予防やケアも、内容に応じて保険診療の枠組みで行います。
- マイオブレースなどの小児矯正(自費)をご提案する場合は、内容と費用を事前にご説明します。具体的な金額は診察時にご案内し、ご納得のうえで進めますので、いきなり費用が発生することはありません。保険の口腔機能管理と自費のマイオブレースは同じ期間に並行せず、どちらかを選んでいただきます。
- 費用の全体像は料金表もあわせてご覧ください。
症例について
当院では、小児矯正の実際の治療例を公開しています。お子さまのお口の状態や治療の進み方は一人ひとり異なりますが、イメージをつかんでいただくために、小児矯正の症例をご覧いただけます。ご自身のお子さまに近いケースについては、診察の際に具体的にご説明します。気になる場合は小児矯正のページもあわせてご覧ください。
口呼吸と虫歯・口臭の関係
お口が開いたままだとお口の中が乾燥しやすくなります。唾液には汚れを洗い流す働きがあるため、乾燥すると虫歯や歯ぐきの炎症、口臭のリスク要因になり得ると考えられています。
よくあるご質問
- Q. お口ぽかんは自然に治りますか
- A. 全国調査では、お口ぽかんの割合は年齢とともに増えており、自然には改善しにくい可能性が示されています。必ずしも放置で悪くなるわけではありませんが、気になる場合は一度お口の機能の評価を受けることをおすすめします。
- Q. お口ぽかんだと歯並びが悪くなりますか
- A. 唇を閉じる力の弱さと、上の前歯の傾きや歯列の幅との関連が指摘されています。ただし影響には個人差があり、必ず歯並びが悪くなるわけではありません。気になる場合はお口の機能(口腔機能)の評価で確認します。
- Q. 矯正をしないといけないということですか
- A. いいえ。まずはお口の機能の評価(保険診療)が入口です。歯並びの治療が必要かどうかは別に診断し、すべてのお子さまに矯正が必要なわけではありません。必要な場合は小児矯正としてご説明します。
- Q. 何歳から相談できますか
- A. 年齢を問わずご相談いただけます。お口の機能は成長の途中で整えやすいため、気づいたときが相談のタイミングです。親子でお越しください。
- Q. 鼻づまりがあるのですが、歯科でいいですか
- A. 鼻の症状が強い場合は、耳鼻科での治療が先になることがあります。当院ではお口の機能を確認したうえで、必要に応じて耳鼻科の受診もご案内します。まずはご相談ください。
- Q. 費用はかかりますか
- A. 口腔機能発達不全症に該当する場合、検査・管理は保険診療です(自己負担は内容により変動します)。カウンセリングは無料です。お子さまのお口の写真を送ってのご相談もできます。
ご相談・カウンセリングは無料/LINEでもお口の写真を送って無料で相談できます
無理におすすめしません / 相談だけでも歓迎 / 費用は事前にご説明
参考文献・出典
- 小児の口唇閉鎖不全(お口ぽかん)の有病率に関する国内の疫学調査(新潟大学を中心とする研究グループ)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」(口腔機能・口腔の健康に関する解説)
- 公益社団法人 日本小児歯科学会(小児の口腔機能・小児歯科に関する学術団体)
- 厚生労働省「口腔機能発達不全症」(2018年・保険収載)
公的統計・学会ガイドライン・査読論文に基づき記載しています。
関連ページ・あわせて読みたい
この記事の監修

中村 彩華院長
お口から、お子さま・ご家族の健やかな成長を支えます。
担当分野: 小児矯正・マウスピース矯正・口腔機能・小児歯科
- 広島大学歯学部 卒
- インビザライン矯正認定医
- 日本小児歯科学会 正会員
- 日本口腔筋機能療法学会 正会員
- 口育協会認定士
- 日本睡眠歯科学会 正会員
- 一般社団法人 Smart Dental Vision 理事長
公開日: 2026-06-10 / 最終更新日: 2026-10-14/ 監修: 中村 彩華(院長)
ご相談・カウンセリングは無料/LINEでもお口の写真を送って無料で相談できます
無理におすすめしません / 相談だけでも歓迎 / 費用は事前にご説明
