歯を抜くことになったとき、抜いたその日にインプラントを入れられるのか、歯ぐきや骨が治るのを待つのかで、手術の回数や歯がない期間が変わります。抜歯した日に埋入する方法(抜歯即時インプラント)は志木駅前院でも行っていますが、骨や歯ぐき、感染の状態によっては、待ってから入れるほうが合う場合もあります。ここでは、どちらに当たりそうかを考える材料と、費用・期間の違いをご説明します。
当日に入れられるかは、抜く前の検査と、抜いたときの状態で決まります
抜歯即時インプラントは、条件がそろう場合に選ぶ方法の一つです。待って入れる方法より長持ちするという根拠はなく、長期ではやや下がるとする資料もあります。
- 抜歯した日に入れるには、抜いた穴の周りの骨が残っている、表側の骨と歯ぐきに厚みがある、急に腫れるような感染がない、インプラントを固定できる骨がある、といった条件が必要です。
- 条件がそろわない場合は、歯ぐきが治る4〜8週後、骨がある程度治る12〜16週後、骨が治りきる6か月以降に入れる方法があります。待つことが不利な選択とは限りません。
- 当日に入れる予定でも、抜いてみて骨の状態が予想と違えば、その日の埋入を見送ることがあります。
- 抜いた後では、当日に入れる選択肢はなくなります。考えている方は、抜歯の前にご相談ください。
抜歯からインプラントを入れるまでの時期は、大きく3つです
インプラントの国際的な研究団体であるITI(International Team for Implantology)は、抜歯からインプラントを入れるまでの時期を次のように分けています。表の呼び方は、ITIの分類を日本語にしたものです。
| 埋入の時期 | 抜歯から埋入まで | 手術の分け方 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 即時埋入 | 抜歯した当日 | 抜歯と埋入を同じ日に行う | 抜歯と埋入が1回の手術で済みます。骨や歯ぐきの条件がそろう場合に限られ、抜いてみて見送ることもあります。 |
| 早期埋入 | 歯ぐきが治った後(約4〜8週)、または骨が一部治った後(約12〜16週) | 抜歯と埋入を別の日に行う | 歯ぐきの量が増えて傷を閉じやすく、抜いた歯の周りの炎症が治まるのを待てます。多くの部位で検討できる方法とされています。 |
| 待時埋入 | 骨が治りきった後(6か月以上) | 抜歯と埋入を別の日に行う | 抜歯後に骨の幅や高さが減るため、埋入の際に骨を補う処置が必要になる場合があります。 |
ITIの2018年のまとめでは、どの時期に入れた場合も生存率はおおむね96〜98%の範囲で報告されており、時期による大きな差は示されていません。一方、日本歯科医学会が2014年に作成した資料には、10〜15年の長期では、抜歯即時埋入や骨移植を伴う場合の成績がやや下がる(87〜92%程度)との記載もあります。調べた期間や対象が異なるため、これらの数値をそのまま比べることはできません。即時埋入のほうが長持ちするという根拠はなく、長期ではやや下がるとする資料もあります。研究の数値は、その研究の対象となった方での結果です。即時埋入を選ぶかどうかは、手術の回数や歯がない期間を減らせる利点が、その方の条件で得られるかで考えます。
埋入の時期と、仮歯を入れる時期は別に決めます
抜歯した日にインプラントを入れても、その日に仮歯が入るとは限りません。埋入から1週以内に仮歯を付ける方法(噛み合わせに参加させる「即時荷重」、噛む力がかからないよう調整する「即時修復」)と、骨と結合するまで2か月以上待ってから歯を付ける方法があり、インプラントがどれだけしっかり固定できたかを見て決めます。志木駅前院でも抜歯当日〜早期に仮歯を入れる方法を行っていますが、条件は厳しく、できる場合は限られます。前歯では、インプラントに仮歯を付けない場合も、隣の歯に固定する仮歯か、マウスピース型の仮歯を使うため、歯がない状態で過ごすことはありません。
抜歯した日に入れられるかを決める条件
ITIの推奨では、抜歯即時埋入を予定どおりに進めやすい条件として、次の点が挙げられています。
- 抜いた穴(抜歯窩)を囲む骨の壁が、割れたり失われたりせずに残っている。
- 表側(唇や頬の側)の骨に1mm以上の厚みがあり、歯ぐきも厚い。
- その部位に、急に腫れたり膿が出たりする感染(急性の感染)がない。
- 抜いた穴の奥や内側に、インプラントを固定できる骨がある。
これらの条件がすべてそろうことは多くないため、上の前歯では早期埋入のほうが通常は好ましいとするITIの見解もあります。
| 言われていること・今の状態 | 抜いた日の埋入についての考え方 |
|---|---|
| 急に腫れている、膿が出ている | 急性の感染がある部位への即時埋入は避けるとされています。先に感染の処置をしてから時期を考えます。 |
| 根の先に病巣があるが、腫れや膿の出口はない | 感染した部分を十分に取り除けて、固定できる骨があれば、即時埋入ができないわけではないとされています(上の前歯〜小臼歯の1本についての推奨)。 |
| 歯周病で骨が減っている、歯がぐらつく | 抜いた穴を囲む骨の壁と、固定に使える骨がどれだけ残っているかをCTで確認します。 |
抜く前にCTで確認し、抜いた後にもう一度確かめます
表側の骨の厚みや、インプラントを固定できる骨の量は、平面のレントゲンでは分かりにくいため、歯科用CTで立体的に確認します。歯と歯ぐきの形は口腔内スキャナで記録します。当院のインプラント治療では、相談の日にCTを撮り(CT撮影を含むインプラント相談は無料)、CTと口腔内スキャナのデータをもとに治療計画を立て、計画した位置に合わせたサージカルガイドを使って手術を行います。相談の時点で分かるのは、表側の骨の厚みや固定に使える骨の量の見込みです。骨の壁が保たれているか、インプラントが十分に固定できるかは、実際に歯を抜いてみて最終的に分かります。当院では、即時埋入を選ぶかどうかを、抜く歯の周りの骨の状態で判断します。喫煙されている方には禁煙をお願いしています。
上の前歯についてのITIの2023年の推奨では、抜歯の際の問題や固定が足りないことで、予定どおり完了できない場合があるとされています。その場合は、骨を補って歯を付けずに治るのを待つ、早期埋入に切り替える、抜いた穴に骨を補って後日あらためて埋入する、といった方法を考えます。当院では、その日の埋入を見送った場合も費用は変わりません。
ご相談・カウンセリングは無料/LINEでもお口の写真を送って無料で相談できます
無理におすすめしません / 相談だけでも歓迎 / 費用は事前にご説明
前歯と奥歯で、気をつける点が違います
上の前歯の即時埋入では、1〜3年のうちに歯ぐきの中央が1mm以上下がった例が、研究によって9〜41%報告されています。表側の骨や歯ぐきが薄い場合、インプラントの位置が表側に寄った場合に起こりやすいとされます。歯がない期間の補い方や歯ぐきのラインは前歯のインプラントで考えることで詳しく扱っています。奥歯(大臼歯)でも、条件が合えば即時埋入は選択肢になるとする報告がありますが、多くは1年程度の短い追跡によるものです。
待って入れる場合、骨がやせる点は考えておきます
歯を抜いた後、骨は時間とともにやせていきます。20の研究をまとめた報告では、抜歯から6か月で骨の幅が29〜63%、高さが11〜22%減ったとされています。そのため待時埋入では、埋入のときに骨を補う処置(骨造成)が必要になる場合があります。一方、即時埋入でもインプラントと骨の隙間に骨を補う処置を併用することがあり、即時埋入なら骨がやせないとは言えません。骨が足りない場合の方法はインプラントで骨が足りないと言われたらと骨造成・歯周外科で説明しています。
費用は、抜歯・骨を補う処置・仮歯の扱いで変わります
インプラント1本の基本構成は、フィクスチャー198,000円+チタンアバットメント121,000円+ジルコニアクラウン ベーシック176,000円で、合計495,000円(税込)です。埋入の時期によって変わる可能性があるのは、次の項目です。
| 項目 | 料金表の金額 | 即時埋入での扱い |
|---|---|---|
| 抜歯 | — | インプラントと同じ日に行う抜歯の費用の扱いは、診断のときにご説明します |
| GBR(骨造成) | 77,000円〜 | インプラントと骨の隙間や不足部分に骨を補う場合にかかります。範囲や量によって変わり、診断のあとに見積りでご説明します |
| 仮歯/スクリューリテイン仮歯 | 11,000円/22,000円 | 前歯では、インプラントに仮歯を付けない間も、隣の歯に固定する仮歯かマウスピース型の仮歯を使います。当日〜早期にインプラントに仮歯を付ける場合の料金と、奥歯での扱いは、診断のときにご説明します |
即時埋入の総額は、この基本構成に、実際に行う抜歯・骨造成・仮歯の費用が加わります。各項目の金額は上の表のとおりです。
早期埋入・待時埋入では、抜歯は保険診療で行います。待って入れる場合には、一般的に、抜歯のあとに骨がやせるのを抑える処置(ソケットプリザベーション)があります。当院でこの処置を行う場合の費用は、GBR(骨造成)と同じ77,000円〜です。支払い方法や医療費控除、デンタルローンはインプラントの費用をご覧ください。
期間・通院・手術後の過ごし方
| 即時埋入 | 早期埋入・待時埋入 | |
|---|---|---|
| 手術の流れ | 抜歯と埋入を同じ日に行い、骨と結合するのを待ってから歯を付ける | 抜歯の後、数週〜6か月以上待ってから埋入し、さらに骨と結合するのを待ってから歯を付ける |
| 外科処置の日 | 抜歯と埋入で1日 | 抜歯の日と埋入の日の少なくとも2日 |
| 最終的な歯が入るまで | 骨の状態によって異なるため、診断のあとにご説明します | 抜歯から埋入までの待ち期間に、骨と結合するまでの数か月が加わる |
骨を補う処置を併用すると、期間が延びることがあります。手術後は腫れや内出血が出ることがあるため、人前に出る予定がある方は、相談のときに日程をお伝えください。手術当日と手術後の過ごし方はインプラントの治療の流れ・期間で確認できます。静脈内鎮静は志木駅前院では行っていません。希望される場合は、別の医療機関である東京のグループ院 RODIN DENTAL OFFICE での手術になります。詳しくは静脈内鎮静についてをご覧ください。
相談の時期と、インプラント以外も考えたい方へ
すでに歯を抜いてから時間がたっている方は、早期埋入・待時埋入で考えることになるため、歯が抜けた・歯がない方へと志木駅前のインプラントをご覧ください。そもそも抜くしかないのか迷っている方は、他院で「抜歯」と言われた方へで、歯を残せる可能性がある場合と、抜歯がやむを得ない場合の考え方を説明しています。
ブリッジや入れ歯との違いはインプラント・入れ歯・ブリッジの違いをご覧ください。
当院のインプラントは、症例に応じた担当歯科医師がCT検査にもとづいて診断・治療を行い、村井亮介 歯科医師(インディアナ大学歯学部 補綴科修士課程修了・M.S.D.、米国で3年間臨床に従事)が治療計画を監修します。抜歯即時インプラントの手術は、村井亮介 歯科医師と中村彩華 院長が担当します。医師の経歴は歯科医師紹介で確認できます。
治療内容・費用・期間・リスクについて
- 治療内容
- 抜歯即時インプラント(歯を抜いた日に、同じ手術であごの骨に人工歯根(フィクスチャー)を埋め込み、骨と結合した後に土台(アバットメント)と人工の歯(上部構造)を取り付ける自費の外科治療)。骨や歯ぐき、感染の状態により、抜歯当日の埋入を見送り、早期埋入・待時埋入に切り替えることがあります。
- 費用(税込)
- 公的医療保険が適用されない自由診療です。1本の基本構成はフィクスチャー198,000円+チタンアバットメント121,000円+ジルコニアクラウン ベーシック176,000円=495,000円(税込)。即時埋入では、実際に行う抜歯・骨造成・仮歯の費用が加わります(各項目の金額は本文の表のとおり)。インプラント相談(CT撮影込)は無料です。
- 治療期間・回数の目安
- 骨と結合するまでの治癒期間として数か月(骨の状態・部位により個人差があります)。骨造成を併用する場合はさらに延びることがあります。即時埋入で最終的な歯が入るまでの期間、手術回数、通院回数は、お口の状態によって異なるため、診断のあとにご説明します。
- 主なリスク・副作用
- 外科処置を伴い、腫れ・痛み・内出血・感染が生じることがあります。抜歯の際の骨の状態や固定の不足により、当日の埋入を見送る、または治療計画を変更することがあります。上の前歯では、歯ぐきが下がり見た目に影響することがあります。まれに骨と結合しない(脱落する)ことがあります。装着後にメンテナンスが不十分だと、インプラント周囲炎が起こることがあります。糖尿病、骨粗鬆症の治療薬、歯周病などにより、治療が適さない、または慎重な判断が必要な場合があります。
よくあるご質問
- Q. 根の先に膿の袋があると言われました。抜いた日に入れられますか?
- A. 腫れていたり膿が出ていたりする場合は急性の感染にあたるため、抜いた日の埋入は避け、先に感染の処置をします。腫れや膿の出口がない慢性の病巣で、感染した部分を十分に取り除けて、固定できる骨がある場合は、即時埋入ができないわけではないとするITIの推奨があります(上の前歯〜小臼歯の1本について)。どちらに当たるかはCTと診察で確認し、当院では抜く歯の周りの骨の状態をもとに判断します。
- Q. 奥歯でも、抜いた日にインプラントを入れられますか?
- A. 奥歯(大臼歯)でも、条件が合えば選択肢になるとする報告があり、結果には頬側の骨が残っているか、インプラントと骨の隙間に骨を補ったかなどが関係したとされます。前歯と同じようにCTで骨の量と形を確認してから判断します。
- Q. 抜いた日に入れる予定だったのに、当日見送りになった場合、費用はどうなりますか?
- A. 見送った場合は、骨を補って治るのを待つ、後日あらためて埋入するなどの方法に切り替えます。当院では、当日の埋入を見送った場合も費用は変わりません。
- Q. 抜歯と同じ日に入れると、別の日に入れるより失敗しやすいですか?
- A. ITIの2018年のまとめでは、埋入の時期による生存率の大きな差は示されていません。上の前歯の1本で、条件を厳しく選んで抜歯即時埋入と即時の仮歯を行った研究をまとめた2023年の報告では、生存率は97.7%で、うまくいかなかった例の多くは6か月以内に起きていました。ただし平均の追跡期間は2.8年と短く、長期ではやや下がるとする国内資料もあり、期間や対象が違う数値はそのまま比べられません。
- Q. 抜歯即時インプラントでも、通常のインプラントと同じ保証がありますか?
- A. 当院のインプラントの保証は、フィクスチャー・上部構造ともに5年(4ヶ月に1度のメンテナンス継続・ナイトガード使用が条件)です。抜歯即時インプラントで骨と結合しなかった場合や、骨を補った部分が増えなかった場合の再手術も、保証の条件を満たしていれば無償で行います。保証の対象と条件は保証制度をご覧ください。
参考文献・出典
- ITI Consensus Database「Implant placement and loading protocols」(Gallucci G, Hamilton A, Zhou W, Buser D, Chen ST. 第6回ITIコンセンサス会議, 2018年、2026年10月9日確認)。
- ITI Consensus Database「Implants in post-extraction sites」(Chen ST, Darby IB, Buser D. 第4回ITIコンセンサス会議, 2008年、2026年10月9日確認)。
- ITI Consensus Database「Esthetic outcomes following immediate and early implant placement in the anterior maxilla」(Chen ST, Buser D. 第5回ITIコンセンサス会議, 2013年、2026年10月9日確認)。
- ITI Consensus Database「Selection criteria for immediate implant placement and immediate loading for single tooth replacement in the maxillary esthetic zone」(Hamilton A, Gonzaga LH, Amorim KG, et al. 第7回ITIコンセンサス会議, 2023年、2026年10月9日確認)。
- Hamilton A, Gonzaga L, Amorim K, et al. Clin Oral Implants Res. 2023;34(Suppl 26):304-348. doi:10.1111/clr.14109(システマティックレビュー・メタアナリシス、2026年10月9日確認)。
- Tan WL, Wong TLT, Wong MCM, Lang NP. Clin Oral Implants Res. 2012;23(Suppl 5):1-21. doi:10.1111/j.1600-0501.2011.02375.x(システマティックレビュー、2026年10月9日確認)。
- Ragucci GM, Elnayef B, Criado-Cámara E, Suárez-López Del Amo F, Hernández-Alfaro F. Int J Implant Dent. 2020;6. doi:10.1186/s40729-020-00235-5(システマティックレビュー・メタアナリシス、2026年10月9日確認)。
- Buser D, Chappuis V, Belser UC, Chen S. Periodontol 2000. 2017;73(1):84-102. doi:10.1111/prd.12170(レビュー、2026年10月9日確認)。
- 日本歯科医学会(厚生労働省委託事業)「歯科インプラント治療のためのQ&A」(2014年、p.3 Q1、2026年10月9日確認)。
- 日本歯科医学会(厚生労働省委託事業)「インプラント国民向け情報提供」(2014年、2026年10月9日確認)。
志木駅前院で抜歯即時インプラントを行っていること、CTと口腔内スキャナによる診断、担当歯科医師と監修の体制、料金は当院の情報にもとづきます。研究で示された数値は対象となった患者・部位での結果で、個々の方に当てはまるものではありません。
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この記事の監修

村井 亮介米国補綴専門医
米国で研鑽した補綴の専門性で、長く快適に使える歯をめざします。
担当分野: インプラント・オールオン4・審美補綴・セラミック
- 愛知学院大学歯学部 卒業
- インディアナ大学歯学部 補綴科 修士課程修了(M.S.D.)
- 米国補綴専門医(U.S. Trained Prosthodontist)
- 米国で3年間 臨床に従事
- ACP(米国補綴学会)会員
- AO(Academy of Osseointegration)会員
- ITI(International Team for Implantology)会員
- 日本補綴歯科学会 会員
公開日: 2026-10-09/ 監修: 村井 亮介(米国補綴専門医)
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